就職・転職時の情報に関するアンケート調査

2015.5.20

  • 雇用
  • 意識調査
  • 障がい者
対象障がい:
  • 身体
  • 精神
  • 発達
  • 知的

実施の背景

障がい者が職場で長期的に活躍していく為には、その環境がご本人の希望の働き方や障がいにマッチしている事が重要です。一方で、過去に障がい者総合研究所が行なったアンケート調査では、入社前に得られる情報源が限られ、入社後にミスマッチが発生している様子も伺えました。その為、入社前までにどの程度、就職・転職先に関する情報を得られたかについて、実態を調査する為、アンケートを実施しました。

  • 対象者

    20~60代の就業経験者

  • 実施方法

    インターネット調査

  • アンケート期間

    2015/3/25~2015/3/31
    有効回答者数:684名

就職・転職する企業を選ぶ為には、様々な情報が必要になります。
その中でも、もっとも重視されている情報は、1位が「障がいへの理解・配慮」、2位が「仕事内容」、3位が「給与」でした。

一方で、入社前までにこれらの情報を十分に得られるケースは、多くはないようです。
「求人票の内容だけで必要な情報が得られたか」という質問では、「得られた」という回答は43%であり、半数以上の57%の方は求人票だけでは十分な情報が「得られなかった」と回答されました。 また、「入社前までに必要な情報を得られたか」という質問でも、「得られた」という回答は50%に留まっており、選考過程においても十分な情報を得られず、そのまま入社に至っている様子が伺えます。

そして、こうした入社前までの情報量は、会社への満足度に大きく影響しているようです。
入社前に得られる情報量が少なくなればなるほど会社への満足度は低下する傾向が見られ、「必要な情報をほとんど得られなかった」という方の会社への満足度はわずか25%になりました。

さらに本アンケートでは、障がい者側から企業に対し入社前までに必要な情報を伝えられたか、という調査も実施しました。
その結果、約60%の方は「伝えられた」と回答されており、半数以上の方は自身の障がいや必要な配慮、希望について伝えられたと感じているようです。一方で、「伝えられなかった」という方が約40%存在しており、その方々の会社への満足度が低い事を考えると、ここにも改善の余地がありそうです。

以上の結果から、入社前にしっかりとお互いを理解出来ている事が、会社への満足度を高め、長期的に障がい者の活躍を促進していく上で重要だと推察されます。

なお、「入社前までにもっと知りたかった情報」としては、「仕事内容」という回答が最も多くなりました。
仕事内容は、就職・転職する企業を選ぶうえで、もっとも重視する情報の2位になっている項目です。一方で、障がい者雇用の場合、応募時点で仕事内容や配属先が明確なケースは少なく、多くが選考過程を通じて決まります。さらに、「どれだけ仕事を任せて良いか分からない」「入社後のパフォーマンスが見えない」といった理由から、「配属先は決まっても、任される業務は入社後に決まる」というケースも多くあります。結果として、ミスマッチが起こりやすく、フリーワードにも記載された「任せてもらえる仕事が無い」という状況も発生し得るのだと考えられます。
企業としても、選考を通じて得られたご本人の能力・適性・希望等の情報をもとに、配属先の現場と任せたい業務を調整するという事は日頃から行なっているものと思います。それらの情報を全て事前に明らかにする事は難しくとも、「配属先の部署がどのような役割を担っているのか」「そこにはどのような業務があるのか」「そのうち、どのような業務を任せたいと考えているのか」「(業務の習熟度に応じて任せる内容を変える場合は)どのようなスケジュール感で振り返りや業務の見直しを考えているのか」「その障がい者の方へ何を期待しているのか」といった情報の中から、少しでも出来る範囲で伝えていく事、がミスマッチを防ぐ上で非常に重要だと思われます。

就職・転職する企業を選ぶうえで、もっとも重視する情報を教えてください

《その他回答》

  • 施設・設備(50代・男性、身体障がい)
  • 事業内容(40代・男性、身体障がい)

現職または前職については、求人票の内容だけで、必要な情報は得られましたか?

現職または前職では、面接などを通じて、「入社前」までに必要な情報は得られましたか?

会社への満足度との関係

現職または前職への「入社前」までに、障がいや必要な配慮について、企業へ伝えられましたか?

会社への満足度との関係

現職または前職への「入社前」までに、希望の雇用条件や働き方を、企業へ伝えられましたか?

会社への満足度との関係

現職または前職への「入社前」までに、もっと知りたかった情報は何ですか?

《フリー回答【仕事内容】》※一部抜粋

  • 具体的な仕事内容と、どのくらいのスキルを求めているのか(30代・女性、身体障がい)
  • 具体的な職務の内容、1日のスケジュール(50代・男性、身体障がい)
  • 仕事内容とポジションへの期待(50代・男性、身体障がい)
  • どんな業務でチームは何人か(20代・女性、身体障がい)
  • 仕事の内容、特に量と質(50代・男性、身体障がい)
  • 一般事務ということだけしか分からず、実際にはどんな内容か知りたかった(40代・女性、身体障がい)
  • 業務内容が事前に分からず、入社後のアンケートで赴任先が決まった(30代・男性、精神障がい)
  • 仕事内容の説明が曖昧でした。案の定、毎日決まった仕事が無く、指示も無いので困っています(50代・女性、身体障がい)
  • 具体的な仕事の中身がないまま入社し、入社後自分で仕事を探す事になりました(30代・女性、身体障がい)
  • 障がいがあっても体に負担のかからない仕事かどうか(50代・女性、身体障がい)
  • 仕事上で発生する可能性のあるトラブルの説明(40代・男性、身体障がい)
  • 業務内容の具体性。例えばパソコンでも「入力レベル」の表現は具体的にどのレベルなのか?軽作業はどの程度が軽作業なのか?(50代・男性、身体障がい)

《フリー回答【社風・職場の雰囲気】》※一部抜粋

  • 社風、実際に勤務する現場の雰囲気(50代・男性、身体障がい)
  • 職場の雰囲気と男女の人数、平均年齢(30代・女性、身体障がい)
  • 配属先の上司の人柄、考え方について(40代・女性、身体障がい)
  • 配属予定の部署を見学して雰囲気を掴みたかった(30代・男性、身体障がい)

《フリー回答【障がいへの理解・配慮】》※一部抜粋

  • 配属部署の方々の障がい理解度(40代・女性、精神障がい)
  • 障がいについてどれだけ理解があり、配慮して頂けるかを、もっと知りたかった(40代・男性、精神障がい)
  • 休憩室はあるのか?それはどのようなものか?(40代・女性、精神障がい)
  • 職場の障がい者の受け入れ態勢(50代・男性、身体障がい)

《フリー回答【給与】》※一部抜粋

  • 昇給や昇格について(30代・女性、精神障がい)
  • 賞与の有無と査定方法、昇給の有無(50代・男性、身体障がい)
  • 月額/賞与の割合などの給与の内訳と時間外手当について(40代・男性、身体障がい)
  • 障がい者の平均年収(40代・男性、身体障がい)
  • 健常者と障がい者の給与/評価における違い(50代・男性、精神障がい)
  • 通院や体調不良時の休暇取得に関する減給の有無(40代・男性、身体障がい)

《フリー回答【勤務時間】》※一部抜粋

  • 残業の実情を知りたかった(50代・男性、身体障がい)
  • シフト勤務等の選択肢について(50代・男性、身体障がい)

《フリー回答【雇用形態】》※一部抜粋

  • 正社員登用についての説明(50代・女性、身体障がい)
  • 契約社員からの正社員登用の実績(20代・女性、身体障がい)
  • パート⇒契約社員⇒正社員への登用があり得るか(30代・女性、精神障がい)

《フリー回答【障がい者の雇用実績】》※一部抜粋

  • 障がい者の雇用者数と定着率(50代・男性、身体障がい)
  • 同じ会社にいる障がい者の本音(60代・女性、身体障がい)
  • 一緒に働く方々の障がいの有無、障がいの種類について(30代・女性、身体障がい)

《フリー回答【その他】》※一部抜粋

  • 障がい者雇用に関する人事と経営陣との温度差(40代・女性、精神障がい)
  • 障がい者雇用に取り組む理由(40代・男性、身体障がい)
  • 通勤に関する交通機関での定期代の上限(20代・女性、精神障がい)
  • 契約社員として入社した場合、どれぐらいの割合で長期就労できるか(40代・男性、精神障がい)
 
アンケート回答者

アンケート期間:2015年3月25日~3月31日
有効回答者数: 684名

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