入社後の相談体制に関するアンケート調査

2015.7.8

  • 雇用
  • 意識調査
  • 障がい者
対象障がい:
  • 身体
  • 精神
  • 発達
  • 知的

実施の背景

過去に障がい者総合研究所が行なった「転職・退職理由に関するアンケート調査」によれば、転職・退職を決断する前に「相談できる人・場所・機会」があれば前職に残っていたという回答が多くありました。このように、入社後の相談体制は障がい者が安心して就業を続けていくうえで非常に重要なものと言えます。その為、実際にどのような相談体制が求められているのかを調査する為、アンケートを実施しました。

  • 対象者

    20~60代の就業経験者

  • 実施方法

    インターネット調査

  • アンケート期間

    2015/5/21~2015/5/27
    有効回答者数:458名

アンケートにご回答頂いた全障がい者の「入社後の相談体制への満足度」は47%。障がい別の満足度は、身体障がい者が49%、精神障がい者が41%でした。
このように過半数の方が不満足と回答している最大の理由は、相談の機会が無い事。具体的な相談体制について尋ねた設問では、全障がい者の約4割が「特に何もない」と回答しています。
一方で、入社後の相談体制へ満足している方について見ると、その多くが配属先の上司や人事との面談の機会があると回答していました。
この事から、上司や人事による面談の有無が、相談体制への満足度に大きく影響しているものと推察されます。

そこで、本アンケートでは、具体的にどのような相談体制があれば良いかについても確認していきました。

まず必要な相談体制としては、1位に「配属先の上司による定期的な面談の実施」、2位に「人事による定期的な面談の実施」があがりました。「定期的ではないが、都度上司や人事へ相談できる状態」が、それらより低い順位である事から鑑みると、不定期に面談が行われる状態よりも、定期的に面談が行われる状態が求められている事が分かります。
さらに障がい別で見ると、精神障がい者では、上司や人事との面談の他に、「産業医による面談」「ジョブコーチや就労支援機関による支援」「専任の支援者の配置」など、第三者の相談窓口も併せて求める傾向が見られました。

また、「上司や人事へ相談したい時」に関する設問でも、障がいによる違いが見られました。身体障がい者では「障がいへの理解や配慮が不十分な時」が最も多い回答でしたが、精神障がい者では「体調が優れない時」が最も多くなりました。また全体的な傾向としても、精神障がい者のほうが身体障がい者よりも相談したい時が多くなっており、仕事上の悩みや不安がより発生しやすい様子が伺えます。

そして、最後に上司や人事との適切な面談の頻度についても確認しました。すると身体障がい者では、「入社後3ヶ月以内」「入社後3ヶ月超~6ヶ月以内」については1ヶ月に1回程度、「入社後6ヶ月超~1年以内」については6ヶ月に1回程度が最多となりました。一方で、精神障がい者では、「入社後6ヶ月超~1年以内」も含め全期間で1ヶ月に1回程度が最多となっており、細かな頻度での面談を、より長期間求める傾向が見られました。

以上より、障がい者が入社後に安心して働き続けるためには、配属先の上司や人事による面談を定期的に実施する事が必要だと思われます。また、特に精神障がい者の雇用においては、不安や悩みがより発生しやすい事を考慮しつつ、面談の頻度を考慮し、場合によっては第三者の相談窓口の設置を検討する事も重要であると推察されます。

現職または前職における、入社後の相談体制には満足していますか?

※障がい別の内訳については、有効回答者数の多い身体障がい者・精神障がい者のみ抽出

現職または前職では、仕事上の悩みや不安について入社後に相談する体制はありますか?

入社後の相談体制への満足度との関係

《その他回答》

  • 社外に相談機関あり(40代・女性、精神障がい)
  • 会社の委託部署により一年に一回面談あり(40代・女性、身体障がい)
  • 監査役に相談した(50代・男性、身体障がい)
  • 勤務先が有料老人ホームの為、看護師による声掛けを受けられている(30代・男性、精神障がい)
  • 問題や支障が発生した場合は自主的に派遣元の上司に相談出来る(50代・男性、身体障がい)
  • 定期的なストレスチェックがある(50代・男性、身体障がい)
  • 体調は大丈夫ですかと、聞かれる程度(50代・男性、身体障がい)
  • マニュアル通りの相談のみ(30代・男性、精神障がい)

入社後の相談体制として、必要だと思うものを教えてください

障がい別

※有効回答者数の多い身体障がい者・精神障がい者のみ抽出

《その他回答》

  • 配属先上司の障がい者への理解(30代・女性、身体障がい)
  • 障がいに対する知識の習得(40代・女性、身体障がい)
  • 障がいについて正直に話せる環境(30代・男性、身体障がい)
  • 配慮と理解のある職員の配置(20代・男性、精神障がい)
  • 信頼できる同僚(50代・女性、精神障がい)
  • 困った時に直ぐに相談出来る人(40代・女性、精神障がい)
  • 困った時に駆け込める聴覚障がい専用窓口(60代・女性、身体障がい)
  • 雇用にはあまり影響がない人への相談(50代・男性、身体障がい)
  • 直属ではなく、仕事の状況や体調を相談出来る体制が欲しい(50代・女性、身体障がい)
  • 産業医と主治医との連携(50代・男性、精神障がい)
  • 人材会社によるフォロー体制(50代・男性、精神障がい)
  • 面談を受けて本気で対応してくれる事(40代・女性、精神障がい)

配属先の上司または人事へ相談したい時とは、どのような時ですか?

障がい別

※有効回答者数の多い身体障がい者・精神障がい者のみ抽出

「入社後3ヶ月以内」における上司や人事による定期面談は、どの頻度で必要ですか?

※障がい別の内訳については、有効回答者数の多い身体障がい者・精神障がい者のみ抽出

「入社後3ヶ月超~6ヶ月以内」における上司や人事による定期面談は、どの頻度で必要ですか?

※障がい別の内訳については、有効回答者数の多い身体障がい者・精神障がい者のみ抽出

「入社後6ヶ月超~1年以内」における上司や人事による定期面談は、どの頻度で必要ですか?

※障がい別の内訳については、有効回答者数の多い身体障がい者・精神障がい者のみ抽出

アンケート回答者

アンケート期間:2015年5月21日~5月27日
有効回答者数: 458名

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