障がい者の恋愛に関する意識調査
2018.2.13
- 生活
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実施の背景
世の中には、恋愛に関する調査は数多くありますが、障がい者の恋愛に関しては、これまでほとんど調査されてきませんでした。恋愛は最終的に結婚へと結びつく場合があるため、障がいが恋愛にどのような影響を与えているのか調査することは障がい者の結婚について考えるためにも重要です。本調査では障がい者の恋愛観やその実態について明らかにするために実施しました。
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対象者
障がい者総合研究所
アンケートモニター -
実施方法
インターネット調査
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アンケート期間
2017/6/9〜2017/6/14
有効回答者数:478名
調査結果
<サマリー>
[1] 交際中の障がい者は2割に留まる。交際していない障がい者の7割が交際を希望。
交際経験のない人の割合は身体障がい者より精神障がい者の方が約1.7倍多い。
※障がい区分に関しては8ページ以降の回答者属性をご参照ください。
[2] 交際相手との出逢いは「学校や職場」が最も多く、「一般の婚活・恋活サービス」を利用した人も多い。
交際相手を欲しいと思わない理由は、「恋愛が面倒」、「交際がこわい」から。
[3] 精神障がい者の4割は交際相手にも障がいがある。
身体障がい者、精神障がい者ともに約半数は障がいのある状態で交際を開始している。
[4] 交際相手には障がいを「伝えたい」と考える人は9割超。身体障がい者の方がその傾向はより顕著。
[5] 交際していない人ほど、障がいが交際の「支障になる」と感じている。
※調査の概要は右上のプレスリリースをダウンロードし、ご覧ください。
- サマリー[1]
- 交際中の障がい者は2割に留まる。交際していない障がい者の7割が交際を希望。
交際経験のない人の割合は身体障がい者より精神障がい者の方が約1.7倍多い。
現在の交際状況について質問した結果、「現在、交際相手がいる」と回答した人は2割に留まり、「今まで交際したことはない」と回答した人は27%となりました。また、「今まで交際したことはない」と回答した割合を障がい別で比較すると精神障がい者が身体障がい者よりも約1.7倍多い結果となりました。
次に、現在の交際に対する考えを聞いたところ、身体障がい者、精神障がい者ともに「交際を望んでいる」人が7割を超える結果となり、障がいによる差はほとんどみられませんでした。
現在の交際状況は次のうちのどれに該当しますか。
<障がい別での比較>
※有効回答数の多い「身体障がい」「精神障がい」で比較
現在の交際に対するお考えは次のうちどちらに該当していますか。(現在、交際相手がいない方のみ回答)
<障がい別での比較>
※有効回答数の多い「身体障がい」「精神障がい」で比較
- サマリー[2]
- 交際相手との出逢いは「学校や職場」が最も多く、「一般の婚活・恋活サービス」を利用した方も多い。
交際相手を欲しいと思わない理由は、「恋愛が面倒」、「交際がこわい」から。
次に、交際相手と出逢うために行動した具体的な内容を、交際を望んでいる方に聞きました。その結果、「学校や職場などで出会いを求めた」が44%、「一般の婚活・恋活サービスを利用した(結婚相談所、SNSなどのWEBサービス、イベントなど)」が37%となりました。障がい別で比較すると、身体障がい者では、「友人・知人から紹介してもらった」の割合が30%と、精神障がい者に比べて、1.3倍多く、精神障がい者では「一般の婚活・恋活サービスを利用した(結婚相談所、SNSなどのWEBサービス、イベントなど)」の割合が身体障がい者に比べて、1.3倍多い結果となりました。
一方、交際を望んでいない方に交際相手を欲しいと思わない理由を聞きました。その結果、上位1位、2位は「恋愛が面倒」が37%、「交際するのがこわい」が36%となりました。障がい別で比較すると、「恋愛が面倒」と回答した精神障がい者が身体障がい者に比べて約2.5倍高く、「交際がこわい」と回答した精神障がい者は約1.4倍高い結果となりました。
交際相手と出逢うために行動した具体的な内容を教えて下さい。
<障がい別での比較>
※有効回答数の多い「身体障がい」「精神障がい」で比較
交際相手を欲しいと思わない理由は次のうち、どれに該当していますか。
<障がい別での比較>
※有効回答数の多い「身体障がい」「精神障がい」で比較
- サマリー[3]
- 精神障がい者の4割は交際相手にも障がいがある。身体障がい者、精神障がい者ともに約半数は障がいのある状態で交際を開始している。
次に、交際相手の障がいの有無について、交際中の方に質問しました。その結果、「交際相手に障がいはない」と回答された方は68%となりました。また、障がい別で比較すると、身体障がい者は「交際相手に障がいはない」と回答した割合が精神障がい者に比べて約1.3倍高い結果となりました。次に、交際開始時における障がいの有無を質問しました。その結果、「先天性の障がいがあり、交際をする前から障がいがあった」、「障がいを受傷・発症した後、もしくは診断がついた後に交際をはじめた」の合計は47%となり、約半数が「障がいのある状態」で交際を開始していることがわかりました。障がい別では身体障がい者は精神障がい者の約1.6倍、「障がいのある状態」で交際をはじめていることがわかりました。
交際相手に障がいはありますか。
<障がい別での比較>
※有効回答数の多い「身体障がい」「精神障がい」で比較
交際開始時に障がいは発症していましたか?
<障がい別での比較>
※有効回答数の多い「身体障がい」「精神障がい」で比較
- サマリー[4]
- 交際相手には障がいを「伝えたい」と考える人は9割超。身体障がい者の方がその傾向はより顕著。
交際している人に自分の障がいを交際相手に伝えているか、交際していない人に今後、交際する際に伝えたいかを質問しました。交際している人では、交際相手に「伝えている」人が97%に達し、障がい別の違いはみられませんでした。また、交際していない人においても「伝えたい」と考えている人が91%となりました。障がい別では、身体障がい者では「伝えたい」と考えている人が94%であるのに対して、精神障がい者では88%とやや身体障がい者のほうが「伝えたい」と考えている人が多い結果となりました。
自分の障がいを交際相手にお伝えしていますか。もしくは、今後交際する際にお伝えしたいと思いますか。
交際している人
交際していない人
交際していない人
- サマリー[5]
- 交際していない人ほど、障がいが交際の「支障になる」と感じている。
最後に、交際するにあたり、あなたの障がいが何らかの「支障になる」かを問いました。交際している人のうち、「支障になった(なっている)」と回答した人は39%であったのに対し、交際していない人では67%であり、1.7倍の開きが見られました。また、交際していない人のうち、精神障がい者の方がより「支障になる」と回答する割合が高く見られました。
交際するにあたり、あなたの障がいは何らかの支障になると思いますか。
交際している人
交際していない人
交際している人
交際していない人
回答者属性
回答期間 : 2017年6月9日〜6月14日
調査方法 :インターネット調査
有効回答数:478名
<障がい区分>
今回は、手帳の種類で障がいを区分しました。本調査で精神障がいと区分した障がいの詳細な内訳は下記の通りです。
<性別>
<年齢層>
障がい者の恋愛に関する意識調査
- 発行・監修
- 株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所
〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング9階
TEL:0570-55-0765(代表) Mail: sri@generalpartners.co.jp URL: https://www.gp-sri.jp/ - 発行日
- 2017年7月
- お問い合わせ先
- 研究員 小牧秀太郎
※本調査結果の引用の際は、「株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所調べ」とクレジットを明記ください
≪株式会社ゼネラルパートナーズについて≫
障がい者の良き認知を広め、差別偏見のない社会を実現することを目指し、民間企業初の障がい者専門の人材紹介会社としてスタート。その後、業界初の転職サイトatGPの開設をはじめ、障がい別の専門的なプログラムが受けられる教育・研修事業、就労困難な障がい者による農業生産事業など、数々の事業・サービスを創出してきました。これまで生み出した障がい者の雇用数はのべ5,000人以上です。
- 会社名
- 株式会社ゼネラルパートナーズ
- 代表者
- 代表取締役社長 進藤 均
- URL
- https://www.generalpartners.co.jp/
- 本社所在地
- 〒100-0011
東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング9階 - 設立日
- 2003年4月
- 事業内容
- 障がい者の総合就職・転職サービス(求人情報サービス、人材紹介サービス、就労移行支援事業、就労継続支援A型事業)
<障害者総合研究所所長中山伸大からのコメント>
今回の調査は、障がい者の恋愛に関する意識や実態を明らかにすることを目的に実施しました。調査対象者のうち、交際相手がいる人は20%、交際相手がいない人は80%。一般向けに実施された同様の調査(国立社会保障・人口問題研究所「第15回 出生動向基本調査」)では、交際相手がいない人の割合は2015年時点で男性70%、女性59%であることから、障がい者のほうが、交際相手がいない人の割合が高いことが分かりました。一方、交際相手がいない人の交際意向については、今回の調査対象者の73%が交際を希望しているのに対し、上記一般向けの調査では半数以下であることから、障がい者のほうが「恋愛したい」と考えている様子がうかがえます。また、これらの「恋愛したい」と考える障がい者の約4割が「学校や職場」「一般の婚活・恋活サービス」などで出逢いを求めたと回答していることから、交際相手を探すため、実際に行動もしていることが分かりました。一方で、交際相手を欲しいと思わない人も約3割います。その理由では、「恋愛が面倒」「交際するのが怖い」という回答が多く挙がっており、今回の調査対象者の恋愛に対する価値観は二極化していると言えるでしょう。
また、今回の調査では、現在の交際状況に関わらず共通していた点、逆に交際状況によって違いが見られた点がありました。
共通していた点は、交際相手への障がいの告知です。『交際している人』『交際していない人』のいずれにおいても、交際相手に「障がいのことを伝えたい」という回答が9割以上であり、相手に自身の障がいを理解してほしいと考えていることが分かりました。
逆に、交際状況によって違いが見られた点は、交際における障がいの捉え方。『交際している人』の約6割は「障がいは支障にならない」と回答したのに対し、『交際していない人』ではその割合は約3割に留まりました。このことから、『交際していない人』のほうが、「障がいは支障になる」と感じていることが分かります。
今回の調査を通じ、多くの障がい者が、自身の障がいを相手に伝えたうえで恋愛したいと考えていることが分かりました。こうした想いを実現していくためには、障がい者自身が心の障壁を取り除くとともに、社会の障がいに対する理解を一層促進していく必要があると思われます。