障がい者雇用への取り組みに関する事例研究
2016.6.22
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株式会社 マイナビ
障がい者雇用率アップの切り札として『オフィスセンター』を設立
■取り組みのポイント
- 急速な事業成長にともない、障がい者雇用が追いつかない状況に
- 社内各事業部から切り出した業務を請け負う『オフィスセンター』を立ち上げ、障がい者をメインで配置
- 会社への貢献度やパフォーマンスを可視化するため、評価制度の整備にも着手
■企業概要
<事業内容>
進学、就職、転職などの総合情報サイトを運営
<ホームページ>
http://www.mynavi.jp/
<従業員数>
約5,000名(2016年5月1日時点)
<障がい者雇用数>
86名(精神障がい17名、身体障がい66名、知的障がい3名)
『オフィスセンター』の立ち上げと運用
障がい者雇用を進めるために『オフィスセンター』を設立
まずは背景として、弊社では従業員数がこの5年で急増したことにより、障がい者雇用が法定雇用率になかなか追いつかないという現状がありました。それに加えて、障がい者の法定雇用率が当時の1.8%から2.0%へとアップし、近い将来さらなるアップも見込まれているということで、早く何かしらの対策を打たねばならない状況でした。
一方、各部署に障がい者の受け入れを打診しても、なかなか進まないという状況が続いていました。従業員が急増しているということは、それだけ会社が成長期にあるということ。どの現場もすでに多忙を極めていました。そんな中で、優秀な方でも、現場サイドでは受け入れが難しいという判断になってしまうこともありました。特に障がい者を受け入れたことのない部署ほど、初めて受け入れるということに対して不安感を抱いていたように思います。
そのような状況を踏まえ、障がい者を主に配置する部署として2014年4月に『オフィスセンター』を立ち上げました。立ち上げ当時は健常者2名、障がい者2名の合計4名でスタートし、現在は管理者として健常者5名、障がい者20名の合計25名体制となっています。『オフィスセンター』では、様々な部署の業務を請け負っています。
管理本部 採用統括部
部長 藤本 雄さん
現在も検討を重ねる特例子会社にもメリットあり
実は、特例子会社設立という方法も全く考えていないわけではありません。これまで何度か検討してきましたし、現在も検討を重ねています。特例子会社なら、マイナビグループ本体とは別の就業規則や給与体系が持てるため、より柔軟に障がい者への配慮が可能となります。また、採用活動を進める中で「ある程度の規模感の企業グループに入りたい」という求職者がいる一方、「規模は小さくても設備や配慮が行き届いている特例子会社に入りたい」という考えの方も多いことが分かりました。すなわち、「ある程度規模のある企業グループの特例子会社」という、どちらの要望も満たせるような会社があれば、障がい者の方々への訴求力となり、障がい者雇用の促進につながるのではないかと感じているのも大きな理由です。
『オフィスセンター』は3つの課で構成、20名の障がい者スタッフの管理にも注力
『オフィスセンター』は3つの課に分かれていて、1課はメーリング業務と総務業務を担当しています。総務業務というのは、会議室やセミナールームの清掃・整理、ファイリング業務などがそれに当たります。2課は軽作業系、例えばレターの封入や名刺の印刷業務などです。3課では主に各種データ入力を担当してもらっています。
業務に従事している障がい者は合計20名。その過半数が精神障がい者です。障がいの内訳としては精神障がい者が14名、身体障がい者が3名、知的障がい者が3名となっています。
障がい者の管理面では、基本的に入社後3ヶ月間は人事との月1回の面談を必須にしています。また、現場の管理者との定期的な面談は2ヶ月に1度、個人ごとに30分~1時間かけて行なっています。それ以外にも必要に応じて人事から連絡を取ることもありますし、日報を管理者がチェックし、毎朝フィードバックを行うなどのコミュニケーションも取っています。支援者がいる方については、職場定着のための定期的な訪問をしていただいたり、障がいのある社員自身が面談や相談で支援者のもとを訪れたような場合には、その内容についてフィードバックを受けるなどの連携をしています。