障がい者雇用への取り組みに関する事例研究

2016.6.22

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対象障がい:
  • 身体
  • 精神
  • 発達
  • 知的

サイトサポート・インスティテュート株式会社

就労移行支援事業所との連携を強化し
精神障がい者の雇用に取り組む

■取り組みのポイント

  • 事業の専門性が高く、知的障がい者の雇用に限界がある中、未開拓だった精神障がい者の採用に着手
  • 就労移行支援事業所などとの連携を強化、実習受け入れを開始
  • 面談用のアセスメントシートなど独自ツールを作成

■企業概要

<事業内容>
SMO事業(治験施設支援機関)

<ホームページ>
http://www.j-smo.com/

<従業員数>
804名(2016年2月現在)

<障がい者雇用数>
8名(精神障がい1名、身体障がい6名、知的障がい2名)

理想の人材との出会いを求めて

従業員急増への対応のため障がい者雇用の新たなリソースを開拓

まずは大前提として、当社では2011年の4月に50名規模、9月には100~150名規模の吸収合併が続き、従業員数が急増しました。私自身も重度身体障がい2級なのですが、その当時の2012年に入社しています。

その後、障がい者雇用への取り組みを続けた結果、一度は法定雇用率の2.0%を達成した時期もありました。しかし、2015年に障がい者2名の退職が偶然重なるという事態が起きてしまったのです。退職理由としては、会社移転に伴う通勤困難を理由とした契約満了、組織改編に伴うグループ会社への転籍でした。

事業企画本部人事総務グループ
堀江 奈穂子さん(社会福祉士)

何か打つ手を探していたときに、新しいリソースを自分たちで開拓してみようと考え、当時は離れていた福祉方面から人材を得る道を再び探っていくことになりました。実は当社で最初に雇用した障がい者というのは、福祉事業所からの支援で入社したという実績がありました。いろいろな求職者と出会う機会を増やすために、就労移行支援事業所など連携する機関を拡大したのです。

事業所ごとの強みを知りパートナーとして連携

就労移行支援事業所はたくさんありますので、最初は片っ端から連絡してお会いするということをしていました。その中で、ある程度就職の実績を出しているところ、きちんとSST(生活技能訓練)とビジネスマナー、ビジネススキルを指導しているところ、特にパソコンについては高いレベルまで指導している点を重視しながら絞っていこうと考えていました。でも実際には、いわゆる作業系の指導をしているところは多くても、パソコンスキルを高いレベルまで指導しているところはなかなか見つかりませんでした。そのうちたくさんの事業所の支援者の方とお会いしていく中で、「この人なら」と思える支援者さんのいる事業所と関係性を築くようになっていきました。就労を目指した就労移行支援ですので、事業所には利用者の訓練やその内容だけではなく、雇用側である企業の立場にも立っていただけることが大事だと考えています。やはり、私たちの考え方や社風などに理解を示していただけることが大切だと思います。

企業実習の受け入れにより精神障がい者の可能性を確認

就労移行支援事業所の方々とお会いすることで、それぞれの強みや特徴が分かってきました。そんな中、「とりあえず実習から受け入れてみてはどうですか?」とご提案をいただき、当社で今まで受け入れ実績のない精神障がいの方々と実習に向けての面談をさせていただきました。お会いする中で、「この方なら大丈夫だろう」と思える方が見つかり、無事実習期間を終えたことで、精神障がいの方も当社で十分働いていただくことが可能なんだと初めて分かり、自信がつきました。

当社は、医薬品・医療機器の治験を支援する会社なので、社内で取り扱う情報のほとんどが機密情報です。そのような機密情報があまりに多いため、関係者以外を社内に入れることはほとんどなく、実習生を受け入れるという発想そのものがありませんでした。でも、本当に業務がこなせるかどうかは、やってもらわないと分かりませんし、現場も実際の受け入れが出来るかどうかわかりません。こうしてチャネルを広げつつ、実習を通して良い人材が見つかれば改めて応募を検討していただき、選考する方法で、障がい者採用を進めるようになりました。

事業内容が障がい者雇用に不向きという現実

当社が障がい者雇用に苦戦する最大の理由は、事業内容そのものが障がい者雇用に向いていないという点です。メイン事業が新薬の治験支援を行なっていることもあり、専門性が高く、社員の6~8割が医療資格を持っています。そういった中で、同じように医療資格を所持していることや経験を障がい者に求めたとしても、該当する方はほとんどいらっしゃいません。また、シェアードサービスという形で、社内で行なっていた軽作業的な業務がグループ会社内で集約されたり、外部委託されたりという流れがあり、障がいを持つ社員に切り出しできる業務が限定的になってしまいました。その中の求人活動ですので、まず私たちがどのような人材を必要としているのかという人物像を改めて明確に持つ必要がありました。やがて、いろいろな障がいの方とお会いする中で「こういう方はOK」、「こういう方は受け入れが難しい」という具合に、求める人物像というものが次第に定まっていきました。また、実際にお会いすることで障がいについての理解も深まり、どういう形だったら受け入れられるか、ということも真剣に考えるようになっていきました。

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