障がい者雇用への取り組みに関する事例研究

2016.6.22

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対象障がい:
  • 身体
  • 精神
  • 発達
  • 知的

サイトサポート・インスティテュート株式会社

障がいの状況を深く理解するには踏み込んだ質問も必要

私たちがなぜ、面談で細かく聞くのかというと、基本的なことをしっかり把握することがとても大切だと考えるからです。特に精神障がいの方が就労を維持するにあたっては、薬をきちんと飲んでいるか、ちゃんと病院に通っているかがとても重要だと考えています。通院の頻度は、それにより業務への影響がどの程度あるかを把握するのに必要です。お薬に関しては処方量も見ていますし、本人が言っている症状に服用している薬が当てはまっているかどうかも見ています。さらに「今の先生と出会って何人目ですか?診ていただくようになって何年目ですか?」という質問もしています。短期間で転院を繰り返す方は、診る先生によって診断が異なり症状にブレが生じることもあります。なので、1人のお医者様に長く診ていただいているかどうかも必ず聞きます。当社の場合、事業特性上たまたま薬に関する知識が豊富な社員が多いのですが、このような専門知識が無くても、どれくらいの種類の薬を飲んでいるという事実を知るだけでも良いと思います。

採用はゴールでありスタート、長く活躍してもらう中で職域の拡大も

私自身、かつては就労を希望する障がい者でした。障がいのある方々にとって、就職はゴールでもあり、スタートでもあると思っています。だからこそ、その方についてできるだけ正しく理解したいし、その方にマッチングする業務を見極めたいし、志を共にできる、本当の意味で一緒に働ける方を見つけたい。どんな業務も障がい者にお願いできるわけではありませんので、業務にピタッと当てはまる方を見つけて、長く働いて成長していただきたいのです。たとえ手間と時間がかかっても、そのための労力は惜しまないようにしています。

当社では、障がい者であっても転属はあり得ます。それは本人のスキルアップによるものや、組織改変によって組織名やグルーピングが変わる可能性もあるためです。それは他の社員と変わりません。IT技術者など、もともと専門職で入社している障がい者の場合は、さすがに業務内容が変わることはありませんが、職域の拡大はあります。当社の場合、「あなたはこれだけをやってください」という雇い方はしておらず、個人の能力やキャパシティを見ながら「職域は必ず拡大する」と伝えています。

精神障がい者に対する採用後のケアが今後の課題

当社で実習をした精神障がい者のうち、縁あって入社に至ったのが1名、半年たった現在もご活躍いただいています。結果的に採用につながったことから、実習の受け入れが障がい者雇用に有効だと分かりました。現在も複数名、実習を予定しています。

精神障がいの方は、ポテンシャルもあり、活かしていただける経験をお持ちの方も多いのですが、障がいが分かりにくい。見た目だけでは健常者と変わらないものですが、障がいをお持ちである以上、ご活躍いただくには何かしらの配慮が必要です。ところが私たちにしてみると、彼らに対して何をどう配慮すべきなのか見えない部分がまだあります。昨日までのキーパーソンが、何かの拍子に突如変わってしまうことがありますし、よかれと思ってしていることが、突然そうではなくなってしまうことが時として起こります。それがきっかけで会社に来られなくなってしまったり、仕事を辞めてしまったり、そういうことを事前に察知して実際に起きないようにするにはどうすればよいのか。それが今後の課題だと思っています。

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