障がい者アスリートの雇用に関する調査
2016.12.19
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インタビュー調査 (2/3)
Q:前職では、どのような就労形態で勤務されていたのでしょうか?
(三上さん)前職は週5日勤務で、毎週土日を練習に充てていました。地方で開催される大会や遠征試合のために、月曜日は有給休暇を取得することが多かったです。もちろん会社側には電動車椅子サッカーの活動があることは伝えていました。シフト制の勤務で残業はほとんど発生しなかったため、予定は組みやすかったですね。
Q:そのような環境のなかで、転職を考えた理由は、どんなところにありましたか?
(三上さん)週5日勤務をして、土日に練習という生活では、体力的に負荷が大きかったからです。そういった面で、より理解のある会社があればと思っていました。また、当時活動を理解いただいていた管理職の方が異動となったことも転職を考えたきっかけの一つです。
Q:現在はどのような形態で勤務されていますか?
(三上さん)オフシーズンとオンシーズンとで働き方が異なります。まず、6月〜10月のオンシーズンは週3日勤務で、勤務の無い日は電動車椅子サッカー関連の活動をしています。クラブチームの運営にも携わっているので、そのための活動にも充てています。11月〜5月のオフシーズンは週5日勤務で、金曜日は土日の練習に備えて在宅勤務となっています。わずかな時間ではありますが、通勤の負担を少しでも軽減することで、無理なく翌日からの練習に励めるようにしています。
Q:三上さんの働き方は、もともとの御社の制度上でも可能だったのでしょうか?
(肥後さん)このような制度は正直なところありませんでした。障がい者アスリートである三上さんが他の社員と同じように力を発揮して勤務いただけるようにアレンジしたものです。三上さんの入社以前にも、育児や介護などを理由とした柔軟な勤務体系が必要な社員に対する在宅勤務などの制度はありました。また、それを可能とする情報システムのインフラなども整っていました。そのため、三上さんが仕事と競技活動を両立させていくための勤務体系をアレンジすることにも違和感なく取り組むことができました。
Q:アスリートとしての活動と通常業務との両立を、どのように実現しているのでしょうか?
(肥後さん)オンシーズンでも対応可能な量の業務をレギュラーで担当してもらい、オフシーズンにはレギュラー業務に加えて、他の人のサポート業務をスポット的にお願いしています。レギュラー業務としては、社員情報の管理があります。入退社や異動情報などを入力する、人事データベースの管理ですね。在宅勤務の場合もPCから社内システムにアクセス可能なので、オフィス勤務と変わらない業務をしていただいています。
(三上さん)業務のボリュームは案件によって差があるため、納品までに必要な期間と実際の勤務日数を考えて、依頼者に「これくらいお時間をいただきます」と、こちらからお伝えするようにしています。もし私だけで対応できないような場合には、周囲の方にフォローいただいているので、とても働きやすい環境だと思います。
Q:在宅勤務を1日のみ設定していますが、すべての日を在宅勤務にしていない理由は何でしょうか?
(三上さん)私から、オンシーズンでも週3回は出社したいと入社時にお伝えしました。その理由は、アスリートを引退した後も社会人として働き続けることができるよう、手に職を付けておきたいという思いがあったからです。30代半ばでいざ社会に出ようとしても、なかなか難しいものです。できるだけオフィスに出社して、いろいろな仕事に挑戦しながら自分に合った仕事を見つけてキャリアを積んでいきたいと考え、このような就労形態を選ばせていただきました。
(肥後さん)当社が柔軟に対応できているという側面もありますが、三上さん自身が積極的にどんなことも受け入れ、取り組もうとする姿勢なので、こちらとしても障がい者であること、アスリートということとは関係なく、どんどん頑張ってもらいたいですし、仕事もお願いしていきたいという気持ちになります。