障がい者アスリートの雇用に関する調査
2016.12.19
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インタビュー調査 (3/3)
アスリートとして競技に取り組む姿勢が仕事にも、ダイバーシティへの理解が高まるのもメリット
Q:三上さんのようなアスリートが勤めていることは、社内ではどの程度認知されているのでしょうか?
(肥後さん)社内報などで紹介したり、大会があった時には三上さん本人による報告文を全社に流したりということをしていますので、社内認知度は徐々にではありますが、上がってきていると思います。
Q:障がい者アスリートを実際に採用されて、どのようなメリットを感じていますか?
(肥後さん)三上さんの活動を通して、今まで自分たちが知らなかった障がい者スポーツについて知る機会が得られました。しかも三上さんは非常に快活な人柄で、いつも笑顔で誰とでも接してくれるので、社員みんなが好感を持って接することができています。いろんな意味で社内の良い雰囲気づくりというものに貢献してくれているように思います。
Q:アスリートとしての活動費に対して、会社として支援していることはありますか?
(肥後さん)無制限ではありませんが、一定額の費用を補助しています。採用時の雇用条件確認書において、給与額のほか、大会遠征などの活動費の補助についても明確にうたい、お互いに納得の上で雇用契約を交わしています。活動費用は給与に含めるのではなく経費扱いです。例えば大会に出場するのは、出張に行っているような感覚ですね。
(三上さん)活動費については、年間の活動費の概算を出し、それを元に年間いくらという額をあらかじめ決めて、援助していただいています。
Q:アスリートの立場から、障がい者アスリートの雇用を検討中の企業へアドバイスをいただけますか?
(三上さん)アスリート全般に言えることですが、アスリートとしての活動を続けていくためにはお金がものすごくかかります。特に私のようにメジャーとは言えないスポーツのアスリートは、スポンサーが付きにくく活動費を自己負担することになるので、そういった費用面の補助が会社から受けられるのは大きな魅力です。
また、働き方については、目の前の採用や雇用だけではなく、アスリート本人の将来的なキャリアや、引退後も働いていける人材なのかという点でも判断し、本人と企業のマッチングを図っていくことが重要かと思います。
Q:障がい者雇用を検討している企業へ、採用者目線でのアドバイスをお願いします。
(肥後さん)私自身がそうだったように、オープンマインドで採用してみると、『思いもしなかった良いこと』がいくつも見つかるので、勇気をもって採用に踏み切っていただきたいですね。特に、アスリートは常に目標に向かって頑張っている方たちなので、その頑張る姿勢は確実に仕事面にも表われます。そういう意味でも、ほかの社員に良い影響を及ぼすことがたくさんあるはずです。やはり、障がい者に限らず多様な人たちが働く職場というものは、常に良い風が巻き起こるものです。ダイバーシティの良さを感じていただくためにも、障がい者アスリートの採用は非常に有益であり、ポテンシャルの高い人材に出会える可能性も高いと考えます。
Q:『思いもしなかった良いこと』とは、具体的にどんなことでしょうか?
(肥後さん)例えば三上さんの試合をみんなで応援に行く機会がありますが、同じ会社の社員がアスリートとして活躍する姿を見ることは、それが障がい者スポーツであるかどうかにかかわらず新鮮な体験です。特に三上さんの電動車椅子サッカーに関しては、「こんなスポーツがあるんだ」と、健常者のスポーツとは違う驚きや発見がありますね。アスリートの方たちが電動車椅子を乗りこなして動き回り、気迫を感じるプレーをするというのは、単純にすごいことだと思います。価値観というものも確実に変わると思いますし、社員同士で語れるものが増えることにもつながります。これは障がい者アスリート雇用ならではの効果と言えるのではないでしょうか。
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